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「最後の例会を終えて」

PSDの大山です。

2007年から始まった那須での例会ですが、いよいよ最後の開催となりました。
今まで支えて下さった皆様方には改めてお礼申し上げます。

思い起こせば、石田さんとの出会いから始まったスピーカー開発はT2というモデルから始まりました。当時、石田さんに「SD05というアンプは従来のアンプと何が違うんですか?」と聞いた事が有りました。その時の答えで印象的だったのは「車で言えばエンジンとモーターくらい違うんです。 タイヤを回す事に変わりは無いが、回すプロセスが全く違うんですよ」と言われました。

私が、プロセスは違ってもタイヤを回す事に違いが無いのであれば、結果は同じでは?と問うと、

「ところが実際にモーターで回してみたら、そのタイヤがブレーキが引きずってるのが判ったんです」
「ブレーキとアクセル同時に踏んでるもんだから効率が悪いんですよ」と教えてくれました。

「モーターとタイヤの関係はアンプとスピーカーの関係と良く似ているんです。ついてはブレーキが掛っていないスピーカーを作ってみませんか?」というお話からT2の開発が始まりました。

その後石田さんとは実際の技術的な考え方や克服すべき課題などを話し合い、スピーカー作りの大きなヒントを頂きました。かくかくしかじか色んな話をした後に、ふと疑問が沸きこんな質問をしてみました。

ところで石田さん、SD05でブレーキを引きずっていないスピーカーを鳴らした場合、どんな音が出ると思いますか?

すると石田さんから忘れられない一言が飛び出しました。

「音楽が鳴ります。低音が高音がどうこうという次元ではなく、そこに音楽があるんですよ」と。

これには参りました。技術屋としてはどうしても高音が・・低音がとなってしまいがちですが、音楽が鳴ると言われてしまうと、私としてはもう何も言えません。

そんなやりとりから始まったTシリーズの開発ですが、目指すべき方向はビシッと定まっていましたので、その後のT3やT4の開発の際にも同じコンセプトで設計しています。

今回,那須で皆様にお披露目したT4とTW4ですが、Shuksさんのご協力により実現いたしました。

トラバドール用ウーハーの開発過程で気が付いたことが有り、私なりにある仮説を立てました。実証実験として開発中のウーハーとT4を組み合わせ、数々の実験を繰り返していました。

そんな中、IさんとShuksさんがPSD試聴室へ遊びに来られました。SD05とT4オーナーでもあるShuksさんに実験の成果を確かめてもらうと、「まるでT4が変身したようだ」との感想を頂きました。同時に「製品版の一号機を予約します!」との事。 

余りの決断の早さに私の方がびっくりです。

試作機はMDFの箱でしたが、製品版を作るとなると話が違います。何よりT4との繋がりを一番に考え、エンクロージャーの材質はT4と同じシナアピトン製としました。高さはShuksさんのご希望を伺い、元設計より高くし再設計。面の取り方も上に乗せるT4とのラインを合わせました。すでに8年程使用されていたT4も塗装面にキズやへこみが有りましたので、ウーハーと色を合わせて再塗装しました。

例会当日、新品の様に生まれ変わったT4と出来立てほやほやのTW4を持って那須へ向かいました。石田さんのリスニングルームに運び入れ、セッティングをし、SD05のボリュームをゆっくりと上げて鳴らしてみました。
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那須の5月の清々しい空気の中、音楽が静かに静かに鳴り響きました。外で鳴く鳥の声と一体となって音楽が流れています。自然の空間へ音楽が溶け込んでいくような不思議な感覚が有りました。石田さんの言われた「音楽が鳴る」という状態の片鱗が感じられた瞬間でした。

SD05の登場により、オーディオの目指すべき方向が示されました。石田さん亡き後、それでも私達は理想とする目標に向かって歩んでいます。今回の音は目標に一歩近づいた音だと思っています。何だか急に自信が湧いてきました。 最後にちょっとだけ進化した音、目標に近づいた音を、石田さんに届けられた気がしています。

例会に参加された皆さんにも聴いて頂きました。そこに「音楽」が感じられたなら、正しい一歩を進んだ事の証明となります。那須の例会はこれで最後となりましたが、また新しいステージへ一歩づつ踏み出しているようです。

PSD 大山

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by SD05club | 2016-06-02 15:45 | 那須
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