<< B&W シグネチャー800を鳴... 那須の試聴室のサウンド >>

B&W シグネチャー800を鳴らす - 1

神奈川のM.A/017です。幹事のKさんから、SD05とB&Wの事について、詳しく投稿する様に、ご依頼がございました。日頃、書きなれていないので、どこまでお伝えする事ができるかは、心持たないのですが、SD05と石田さんに改造していただいた、MS1の鳴らす音があまりにも素晴らしいので、皆様に報告する義務も感じましたので、ご報告いたします。

B&W シグネチャー800を鳴らす - 1_b0098901_19443538.jpg

オーディオは、私の中では、唯一と言っても良い趣味です。先ほど無事に定年を迎えましたが、仕事の無くなった現在、本当に良いタイミングで、石田さんのアンプに巡り会う事ができたのは、僥倖であると思います。今までの、遥かな歩みを思うと感慨に耐えません。
電気技術士でもある、自分の中で、音楽を聴く手段としてオーディオに興味を持ったのは、学生時代からです。ご多分に漏れず、いろいろなアンプやスピーカーの遍歴を経て、ゴトーユニットの行き着いたのは、もう、30年前の事でしょうか。現在の大和近くに居を構えたところ、オーディオの先輩の紹介で、近くにお住まいの、ホーン型SPの名人、後藤ユニットの後藤さんと知り合う事ができました。当時のオーディオ界をリードされていた、高城先生の影響もあったのかもしれません。後年、高城先生のお家にも、何度か足を運び、奥様の声楽との素晴らしい演奏のCDも頂戴する事ができました。
ご存知でしょうが、オールホーン型の後藤ユニットは、ほぼ、2オクターブの音域を4〜5ウェイのホーン型のSPで繋いでいきます。歪みの本当に少ない音は、そのホーン型本来のダイナミックレンジの大きさに加えて、リアリティは他の追従を許さないものでした。
しかし、実際にそのユニットを構成するのに、一番の苦労は、なんと言っても、ホーンの大きさです。中低音のユニットの長さは1メートル半にも及びます。低音を受け持つ、38センチダブルウーハー、中低音ホーン、中音ホーン、高音ホーン、超高音ホーンの5ウェイを渦巻き状に配置して試聴位置の一点に合わせるのは、至難な技でした。幸いSPの効率は高いため、アンプは、20wもあれば充分で、SONYのスィチング電源を使った初めてのアンプTA-88を中音以上に4台鳴らしていたのです。低音は、マッキンの2500で、ダブルウーハーを駆動して居ました。今思うと、楽しくも、苦しい日々でした。オーディオという、高山に挑む喜びもあったのですが、狭いリヴィングルームを占領してのオーディオは、家族に相当の犠牲を強いて居ました。
その、二十年にも及ぶ、ホーン型のユニットを辞める切っ掛けも、本稿を依頼してきた、Kさんでした。
ある日、デンマーク製の小型SPを持参した彼は、後藤ユニッットの鎮座する、部屋の中程に配置して、特別にチューンしたCD−34を聴かせてくれたのです。今まで、帯域の拡大こそがオーディオだと思って、進んできた自分に、大きな石を池の中に放り込まれたのです。
彼いわく、ステレオは、左右ばかりではなく、音楽の深みと、高さの三次元を表現できる、道具だと、狭い部屋におおきなSPを持ち込んでも、演奏会場の一部を切り取って聴いているだけだと。演奏会場に鳴り響く残響もすべて再現しなければと言って、聴かせてくれたのです。
これには、参りました。二次元の音が3次元に広がったのですから。しかし、二十年以上脇目もふらずに邁進してきた自分の歴史に、大きな壁を見せつけられた思いでした。
さんざん迷ったあげく、自分のやりたい事は、SPいじりではなく、音楽を再現したのだと気がつき、決心しました。壁に穴をあけていた中音ホーンが無くなった部屋は、すっかり大きくなり、家族には喜ばれました。M.A/017
B&W シグネチャー800を鳴らす - 1_b0098901_1221130.jpg
 
by SD05club | 2006-07-05 18:25 | 私のSD05
<< B&W シグネチャー800を鳴... 那須の試聴室のサウンド >>