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923ビッグバンド録音会

12月の18日の火曜日杉並公会堂小ホールで、木幡光邦さん率いるビッグバンド・923BBの録音収録と演奏会が行われました。ドラムス2セットの豪華なビッグバンドは総勢18名の名手たちで構成されています。923BBは、数あるビッグバンドジャズのバンドの中でもよく知られ、ドラムス二台と圧倒的な切れ味のブラス群から繰り出される音の迫力に実演を聴かれた方はみな圧倒されます。現在ではビッグバンドの様な大音量のライブでもPAを使うのが常識になっています。実際、ライブ会場の最前列でサックスの目の前に座っていても、音は左右のPAから聞こえてきます。日頃クラシック音楽の演奏会を聴いている者にとって、それがとても違和感を感じていました。トランペットの中にマイクを突っ込むように各楽器に一本づつ配置され、背後に置かれた調整卓でバランスを取っています。曲ごとにバランスも変えているようです。音楽家の演奏者同士が音のバランスを決めるのではなく、調整卓の技術者により演奏のバランスが決められているようです。

基本形のピアノトリオの場合、一番大きな音を出している楽器はドラムスです。特に生のウッドベースを使っている場合は、よほどドラムスの音を小さく演奏(スネアで適当)しなければバランスが崩れます。その為ライブハウスではほとんどピアノとベースにはマイクをつけて増幅しているようです。
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今年の夏、ファンクラブのレコードコンサートを開いている杉並公会堂の小ホールを使って木幡さんのコルネットと安ヵ川さんのウッドベースそして竹中さんのギターのトリオの録音をしました。小ホールの残響が近接録音されたワンポイントマイクのジャズ録音でも有効なのを確認しました。両方の録音を依頼したMA・RECORDINGSのタッドさんと12月のビッグバンドコンサートに向けて録音方法の準備を重ねてきました。ワンポイントマイクによる録音ですから音量の違う楽器の音のバランスをマイクからの楽器の距離を調整してフェーダーの代わりをし無ければなりません。しかしアタック音が大事なドラムスの音は、音量が大きくても離すと音に迫力が無くなります。そのバランスを取りながら、音場再現性のあるワンポイントにこだわり収録する方法を考えてきたのです。

ご承知のように、MA・RECORDINGSの録音では比較的小編成での近接録音が多く、今回のような大編成オーケストラの録音はタッド氏にとっても挑戦でもありました。今回の録音は初めての試みでしたが、出来上がったCDをお聴きになられればその分離と楽器の実在感・バランスに驚かれるでしょう。立体感のある音像でハーモニーが分厚く構成されているからです。
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使用した録音資材はタッド氏特製のB&Kの無指向性のユニットを使ったマイクアンプ内蔵タイプで、今までの名録音を支えてきた資材です。特製のクリスタルケーブルから短距離でKorgのMR-1000 1-Bit Professional Mobile Recorderで、1ビット5.6448MHzでマスター録音されて、曲目やソロ楽器の組み合わせに合わせて、マイクアレンジを調整して行きました。会場にはKORG社の技術者も訪れソフトのバージョンも調整されていたようです。

タッドさんのマイクとは別に、会場のB&K4006を使用して、Tascamのメモリーレコーダーに長時間収録を考え44.1KHz・16ビットのCDフォーマットで記録されています。こちらの方は、会場のアンビアンスを含め収録されています。ファンクラブの会員各位に配布するメーキングCDではその様子がお聴きになれると思います。
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朝10時から始まったピアノ調律を待って、昼過ぎから食事も取らずに、マイクのセッティング、演奏者の位置を決めていきました。1時前には全員が揃い、音出しをして貰いバランスをチェックしていきます。タッドさんはバンドのリハーサルを録音してバランスをチェックして微妙なマイクアレンジを加えていきます。二十年以上のキャリアがマイクの位置を的確に割り出していくのです。興味深い光景でした。
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やがてバランスも整い楽器も暖まってきたところで、最初のテークを収録しました。控え室に用意したSD05/75Wに新しく制作した架台にPSDのT3を乗せモニターSPで鳴らしました。演奏者全員が集まり小さな部屋には入り切りません。スタジオ録音に慣れた演奏者の皆さんは、たった二本のマイクだけで録られた録音に食い入るように聞き入っていました。皆さんおお顔に驚きが現れ安堵の表情に変わっていきました。「こんないい音聴いたことがない!」というのが多くの方の感想でした。
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関係者全員その表情と収録された音を聴いて一様に驚きそして安心したのです。年末になり演奏者との打ち合わせも終え、曲目や順番も決めてCDの制作に掛かりはじめました。収録された音を聞き込んでいったタッドさんが、製品としてのマスターリングをアメリカで行うよう依頼をしてくれました。恐らくこれからのショーで評判を呼ぶ作品に仕上がることでしょう。試聴盤は、一月のラスベガスで開かれるCESのショーで披露されるようです。製品として出来上がってくる音が本当に楽しみですね。
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by Sd05club | 2007-12-30 00:37 | Sound Cafe
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