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ファンクラブ例会のお礼

049/大山です。
今年の例会は内容が盛り沢山で大変楽しい2日間でした。石田さんをはじめ、ファンクラブ例会を見事に仕切っていただいた幹事さん、そして参加された皆様にこの場をお借りしてお礼申し上げます。

今回の例会では皆さんに新型スピーカーT4をお披露目する事が出来ました。T4はH450 W250 D330という比較的小さな2wayスピーカーです。低域は欲張らずスッキリと、中高域は徹底的にクオリティーを高め、音離れを良く音場感豊かに鳴らす。これがT4の開発テーマとなっています。

バッフル板は75mm厚のシナアピトン合板から削り出し、Tシリーズ共通のバッフルデザインを与えました。そのバッフルと組み合わされるバックキャビティー部分は、片側105mm厚のシナアピトン合板のブロックからNCルーターを用いて削り出すという、非常に凝った贅沢な加工法を採用しております。現物を見て頂いた方には必ず納得して貰えるだけの形状と加工精度を有していると自負しております。興味が有る方は当社リスニングルームにお越し頂ければ、組み立て前の加工状態をお見せできます。

スピーカーユニットの構成ですが、3インチボイスコイルを持つ130mm口径のウーファーと25mmソフトドームツイーターを組み合わせています。T4開発にあたりツイーターの選定には色々と苦労が有りました。紆余曲折有りましたが、結局スキャンスピーク社に特注でオーダーしたツイーターに落ち着きました。このツイーターはスキャンスピークのD2905/9700というツイーターをベースに、ボイスコイルや各種パラメーターを変更してもらった物です。ノーマルの9700では、おとなしく非常に癖の無いしっとりと鳴るタイプで、ソフトドームツイーターの優等生という感じでしたが、パラメーターを変更した物はカラッと明るく、抜けのよい方向に変化しています。
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ウーファーに関しては皆さんに重要なお知らせがあります。特徴的な外観を持ち小型ウーファーの中では抜群の性能を発揮する130mmウーファーですがすでに製造メーカーがドライバーの供給中止を発表しております。当社としましては、試作用、補修用を除き20セット分のウーファーユニットを確保しております。このような理由により自動的に今回発表するT4は20セットの限定販売となります。販売価格等は(株)PSD大山までお問い合わせ下さい。

T4開発のきっかけは石田さんのこの一言からでした。「邪魔な低音はいらないので、小型で質の良いスピーカーって出来ませんか?小さいスピーカーの方が圧倒的に鳴らしやすいし、SD05との組み合わせなら小さくても全く不満無く鳴っちゃうと思うんですよね」と。

そんなお話から始まった訳ですが、頭の中は?がいっぱいでした。「邪魔な低音ってどんな低音?」この答えを本当に理解するまでには様々な実験と考察が必要でした。なぜなら、T2,T3共に低域特性をかなりのレベルで追求したスピーカーだったからです。T2,T3を通してより深い低域再生を考えていた時に突然、「邪魔な低域はいらない」と言われて・・・。

では低域が無ければいいのか?T3からウーファーを取った音で満足するのか?というと、決してそんな事は有りません。そんな単純な話ではないようです。結論として「再生して不満の無いレベルの低域が再生されていれば、それでよし」という事に落ち着きました。実際には「再生して不満の無いレベル」自体が人それぞれですので、あくまでも私の独断で決めたレベルです。

T3をウーファーレスで鳴らしてみます。T3はクロスが120Hzですので、明らかに低音不足です。色々と実験した結果、60Hz位までフラットに伸びていれば、ほぼ不満の無いレベルの低域が再生されると結論付けました。実際にT4の低域特性を計測してみると、60Hzまでは中域と同じレベルで再生し、60Hz以下は急激に減衰し一応40Hzまではレスポンスが確認されています。さすがにT3と1対1で比べると明らかな低域不足ですが、T4単体で聴く分にはさしたる不満も無く聴けてしまうのが不思議な所です。CDによっては、こんなに低音出るの?って思ってしまう事もあります。脳に低い音を想像させると言いましょうか、あたかも低い音が出ているような感覚にさせる音です。
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「人間は耳で音を聴いてるんじゃなく、脳で聴いてるんですよ」と石田さんが言っていましたが、まさしくその通りの結果が出ているようです。「邪魔な低音」については、ぼんやりとですが答えが見えてきました。低域のエネルギーが上昇すると、部屋の定在波などの影響が強く出て、周波数特性に急激なピークやディップが生じます。理想的な音響特性を持つ部屋以外では、低域が出る事のメリットよりデメリットのほうが上回る場合があります。このようなデメリットが多い低音を石田さんは「邪魔な低音」と表現したのだと思います。本質的には「低域を受け止めきれない部屋」に問題が有りそうですが、あえてスピーカー側で問題を回避する辺りが石田流なのでしょうか。今はそんな風に理解しております。

先日のファンクラブ例会ではこのような経緯をほとんど話さずに、皆さんにT4を聴いて頂きました。余計な先入観を持たないで聴いて頂きたかったからです。鳴らしたT4はプロトタイプでしたので、製品版とは若干の相違はあると思いますがぜひ試聴した際のご意見、ご感想をお聞かせ下さればと思っています。よろしくお願いします。

049/O
by SD05club | 2008-05-29 21:39 | Sound Cafe
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