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MS1改の感想

遅ればせながらやっと我が家にも到来したMS1改ですが、これから先ずっと使うことになるだろうと感じています。それ以来CD棚を端から聞いていますが、その中で特に印象に残ったCDを例に、とりあえずの感想です。

MS1改、SD05(50W)、802Dで音を出した瞬間に、そのしなやかな響きに感心しました。既に多くの方が書かれていることと重複するところが多いとは思いますが、高い音、低い音、小さな音、大きな音、またその中間の全ての音について、しなやかさが保たれる、と言う感じです。なぜしなやかと感じるのか?

しなやかであるがゆえに、重低音はどこまでも伸びて部屋に満ちる、高音も決して硬くならない。ピアニシモが長く続いてもディテールは美しくあり続ける。音場は少し奥目に広がる、あるいは奥行きが深い、ということででしょうか。これまでもさほど不満が無かった802Dの領域がさらに広がったと思っています。大編成のオーケストラ、小編成あるいはソロ、歌など、何でも来い、でしょう。
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M.A/017さんのお勧めに従ってオペラのCDを聞きなおしています。プッチーニの「ラ・ボエーム」(セラフィン指揮ローマ聖チェチリア音楽院、LONDON)。オフ気味の歌声と明確な音像が印象的で、1959年の古い録音とは思えません。グノーの「ファウスト」(コリン・デイビス指揮バイエルン放送交響楽団、PHILIPS)は3枚組みですが、定位と動きがスリルを感じさせて飽きません。アーメリング、テ・カナワ、グルベローバ、バトルなどのオペラアリア集も、このシステムで聴くと聞き応えがありますね。ステレオで聴くオペラの楽しさを教えてくださったM.Aさん、ありがとう。

 一番驚いたのは、武満徹「ノヴェンバー・ステップス」(小澤指揮トロント響、RCA)です。SD05とMS1改はこのためにあると言っても良いのでは?尺八と琵琶はまさにそこにあって手で触れそうです。でも、そんな風に「オーディオ」しているうちに、音が良いとか悪いとかを忘れて音楽を聞いてしまう。これが05と1の組合せの素晴らしいところですね。

 拍子抜けするほど控えめなのは、モーツァルトのクラリネット協奏曲(クラリネット:シフリン、シュワルツ指揮モーストリー・モーツァルト・オケ、DELOS)。派手なところは何もないですが、味わい深いとはこのことでしょうか。やっぱりモーツァルト、ですね。派手さでは「シエラザード」(ゲルギエフ指揮キーロフオケ、PHILIPS、ハイブリッド)。冒頭の強奏の低域は“地面”に浸み込みます。音に浸透力があるんですね。

このしなやかさはどこから来るのか。硬さ、すなわち高域の何かが無いのではないかと感じています。あるいは歪みがないせいなのでしょうか。音を包む硬質の膜がない。これを付帯音がないと言って良いのかどうか分かりませんが、「裸」の音が聞こえているという感じです。しなやかな、浸透力のある裸の音が。硬質の輝きが不足しているという不満が生じるかも知れず、MS1改がジャズに向いていないと言う評価になっているのかもしれません。確かにジャズにおいて硬い音を求める場合には、物足りないと言う人がいらっしゃることは理解できます。この数日聞いてきた範囲では、「Basie is back」の強奏に何の不満も無いばかりか、しなやかさがうるさくなることを救っていると感じられました。ずうっと聞いていたい音です。
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「Basie is back」(エイティ・エイツ、ハイブリッド)の強奏は「シエラザード」と同様に地面に浸み込み、音量を上げてもうるさくならない、上げ過ぎないように注意が必要です。名高すぎて取り上げるのに気が引けますが、“天国で作られた”「Kind of Blue」(Columbia、1997年再発盤)におけるマイルスの音色は本当に心に響きます。ヘレン・メリル「Dream of You」(EmArcy)は、モノーラルですが精妙な節回しと魅力的な声をたっぷりと聞かせて、MS1の幅広い可能性を感じさせます。
 
私のもう一つのシステムであるSCD−DR1、TA−DR1(未改造)、タミーノについて、SCD−DR1の代わりにMS1をいれても同じ印象です。TA−DR1は05の兄弟ですからあたりまえですね?802Dよりも小さい3wayであるタミーノは大編成が苦手ですが、こなせる範囲が広がった感じがします。ソニーの現行のフラッグシップSCD−DR1と較べても、MS1はしなやかさの点では勝っているでしょう。

MS1が来てP−0sが倉庫行きというようなお話を聞いて本当かなと疑っておりましたが、今は何となく納得です。SCD−DR1は今後SACD専用にでもするのかなあ・・・。ディスクの回転軸まで傾いている徹底的に独自の形状も含めて非常に気に入っています。それにしてもこの軽さは・・・。物量投入とは無縁の・・・。SD05とMS1改、素晴らしいコンビです。

TH/093

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ご幸運にも、MS1を手に入れられたT.Hさんからのご感想でした。現在MS1はほとんど手に入らなくなっております。この文章を掲載すると、さらにMS1が入手しにくくなって迷惑を掛け ることになるかもしれず躊躇しました、MS1やXA55ESを改造する事の意味を、SD05とTA-DR1(a)のオーナーの方にご理解いただければと思い掲載いたします。この改造は、SD05とTA-DR1(a)との組み合わせの時に効果ありますので、会員以外の改造は行っていません。

また、次回はXA55ESを手に入れられたファンクラブ会員の方の感想記も掲載いたします。ファンクラブではSD05用に、旧くなってきて補修部品の確保も難しくなってきた、MS1やXA55ESの改造に頼るだけではなく、筐体内にDAコンバーターを内蔵していない「CD専用トランスポート」とのご使用をお勧めしております。
by Sd05club | 2007-05-22 14:52 | Sound Cafe
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